月夜の黒猫
『……皆、ちょっとごめん。』
月詠朔夜が声をかけると、上半身に乗ってた猫達が足元の方に移動した。
それを確認した月詠朔夜は上体を起こして髪を整える。
そして僕達の方を見て―…
『…………答える義理はない。
てか、誰?』
蓮の質問をバッサリ拒否し、僕達が何者なのか逆に聞いてきたのだ。
この学校にいて僕達のこと知らない人っていたんだなと思った。
これでも僕達は全国No.1の暴走族、鬼龍《キリュウ》のメンバーだ。
蓮が総長、葵が副総長、要と湊そして僕が幹部の位置についている。
しかも、この学校は鬼龍のやつが結構通ってるため学校内でも有名だ。
蓮「…鬼龍総長、黒崎蓮。」
葵「副総長の霧島葵だよ。」
要「…チッ、幹部、瀬川要」
湊「同じく幹部の逆巻湊だょーよろしくね〜!」
空「同じく藍川空」
僕達は月詠朔夜に名乗った。
『………………………そう。……月詠朔夜』
僕達が名乗ってからも月詠朔夜の反応は薄かった。
足元にいる猫達を撫でながら僕達に興味を示さず、あくびを噛み殺して名前を名乗ったのだった。
湊「え?それだけ?!反応薄いよ~!」
『………』
湊が喚くと月詠朔夜が迷惑そうな雰囲気を醸しだしてきた。
湊「うわぁ、めっちゃ迷惑そうにされたぁー!」
要「…うるせぇぞ湊。」
葵「…湊、ちょっと静かにして。月詠さん、急に押しかけてごめんね?ちょっと聞きたいことがあるんだ。」
『………………』
うるさい湊を葵が黙らせ本題を切り出した。すると月詠朔夜は僕達の方に顔を向けてきた。
月詠朔夜はメガネをかけて前髪が長いためほとんど表情が伺えなかった。
無言でこちらを見ている。
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