月夜の黒猫
『…………ハァ、皆ごめんまた今度。』
月詠朔夜は僕達から目線を反らしため息をつきながら猫達に話しかけた。
すると猫達は次々に立ち上がり月詠朔夜の周りに円を描くように離れた。
『…ありがと。』
月詠朔夜はお礼を言い円の中心に立ち上がった。
それを見計らった猫達は月詠朔夜の足元に集まり、一匹ずつ頭を足に擦りつけ散りじりにこの場を去って行く。
『クロもまたね。』
クロ《ニャー》
月詠朔夜は最後に残っていた黒猫に声をかけた。どうやら黒猫には名前があるらしい。
黒猫は1鳴きして軽やかな足取りで帰っていった。
全「……………(猫遣い?)」
一部始終見ていた僕達は心の中で1つになった。
『………で?』
それを唖然見ていた僕達に月詠朔夜が切り出した。
全「…え/ん/?」
急なことで僕達は呆けて間抜けた声を出してしまった。
『…………………用件』
それに対して月詠朔夜は本題を呟いた。
全「あ、」
『…………』
月詠朔夜は相当飽きれていた。
葵「…すまない。用件なんだけど君は数日前の夜、神崎美優って子が男数人に襲われた時に助けたかい?」
葵が用件を切り出した。
『……………神崎…美優…?
…………あぁ、ちっちゃいパーマの子』
全「!」
葵「やっぱり、助けたんだね…?」
『…さぁ?手は貸した。それが?』
月詠朔夜はあっさり助けたことを認めた。
要「…つーことは、お前が黒猫か?」
要がしびれを切らし聞いた。
『………?黒猫…?』
だが、月詠朔夜は身に覚えがないらしい、、
葵「要、話が急すぎるよ?それに、黒猫っていうのは俺達の中で勝手に回ってる通り名たから本人が知らないかもしれないし。」
空「(コクコク)」
葵「とりあえず、状況の説明からするね。」
こうして、葵は神崎から聞いた話しを月詠朔夜に話し、経緯を説明した。
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