月夜の黒猫
『………………』
そこには、数メートル先に吹き飛ばされた男の人達と逆光でシルエットしか見えないが、長身の人が満月をバックにたっていた。
男1「っ誰だてめぇ!何しやがった!」
私がジッと男の人の後ろを見て目を見開いていると、男の人もその人の存在に気づいた。
そしてその人に対して怒鳴り散らした。
『……3秒』
男1「はぁ?!何言ってんだ?あぁ゛?」
『…お前が立っていられる時間』
タッ―…
男1「は?」
ドスッ
男1「う゛ぁ」
ズザー
女の子「!えっ?!」
その人は綺麗な声をしていた。その声はあまりにも感情が篭っておらずすごく神秘的だった。
その声で男の人の質問には答えずはっきりと脈絡のない言葉を発した。3秒―…
この言葉には私も疑問をもった。
その疑問を男の人が質問すると、その人はそれに対して答えた瞬間―…
足音も立てず目にも止まらぬ速さで男の人の間合いに入り、腹部に強烈な蹴りを入れ吹き飛ばした。
すると男の人は気絶しそのまま動かなくなった。
『…大丈夫?』
女の子「ビクッ……っ!…は、はぃ…、だいじょうぶ……です。」
私がそれを唖然とみていると、音もなく目の前に現れて私の目線に合わせようとしゃがんでくれた。
その時ちょうど顔を見ることができた。
『……』
女の子「…っ、」
その顔を見た瞬間、私は目を奪われることになった。
その人は闇に溶け込むような真っ黒で腰下まである髪に、月の色と同じ金色の瞳を持っていた。さらに容姿も文句が付けられないほど整っている。とても綺麗な人だった。
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