月夜の黒猫
人質
―美優Side―
美「っ…ん、」
あれからどれくらい経ったのだろう…?
それに此処は…どこだろう?
私はぼんやりしている頭で状況を把握するため目を開いた。
此処はどうやら車の中で、後部座席に手首を縛られ座らされている。
私が意識を失ってから大分日が傾いているようだ。
ふと耳を澄ますと遠くから乱闘しているような怒鳴り声と金属がぶつかる音が聞こえてきた。
美「…(もしかして、私拉致された…?)」
私の中に最悪な状況が巡った。
美「どうしよぅ…、」
私はか細い声で呟き、どうにか逃げることができないかと縛られてる手首を解こうとした。
美「…っ、外れない…!っ、痛っ…!」
外そうと動かしていた手首に急に痛みが走った。
どうやら擦れて皮膚が少し切れてしまったようだった。
そこで私は一旦身体の力を抜き考えることにした。
美「(いったいどうしたら…)」
シャラ…
私は途方に暮れて首を項垂れさせた。
すると、首の辺りで金属が擦れる音がした―…
美「あっ、(これは…、月詠さんがくれた、笛…!)」
そこにあったのは昼休みにもらった笛だった。
確か、窮地に陥ったときにこれを思いっきり吹けって言ってた―…
あと、絶対駆けつけてくれるって…
美「(あの時すごく真剣な目をしてた―…それに、いつもピンチの時に助けられてるし…
よし!一か八か信じよう!)」
私は前側で縛られてる手を器用に使い、服の下に入れていた笛を取り出して口に咥えた。そして昼休みに月詠さんから言われた通り思いっきり息を吸い込み笛に息を吐き出す。
美「(お願い届いて!)」
笛からは音はしなかった。
でも、確か動物にしか聞こえない音だって言ってたから私には聞こえないんだと思う。
周りにも気づかれてないから、あとは信じて待つしかないー…
そんなことを考えた矢先のこと――……
ガチャ…
美「…っ!」
城「目が覚めたみてぇだな。ちょっと、一緒に来てもらおうか(ニヤリ)」
車のドアが開き妖しく笑った男の人がナイフをチラつかせ脅してきた。
私はそれに従い車の外にでた。
美「(…っ、此処って…!葵くん達の…倉庫…?!)」
私は出た瞬間悟った―…
私は人質なんだと…、
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