月夜の黒猫



美「あ!葵くん」


『……』






私はその声を聞いて月詠さんの身体の脇から顔を出して覗き込んだ。



すると、葵くんだけではなく鬼龍の幹部の人達もこちらに歩み寄ってきていたみたいだ。



因みに下っ端の人達は倒れている人達の手当てや敵の人達の事後処理をしているようだ。





































葵「大丈夫かい?ケガはない?」



『……』

クロ《ニャッ》
美「あっ…」




月詠さんの背後まできた葵くんは私に声をかけた。



すると月詠さんは無言で私と葵くんの前から横にズレ少し距離をとった。それに伴ってクロも私の腕から抜け出して月詠さんの側による。



それに対して私は残念に思いながらも、葵くんに向き直った―…

































美「うん!大丈夫だよ~(ニコ)」


葵「そぅ、よかった(ホッ)」






私がそう答える葵くんはホッとして表情を和らげた。







































葵「…月詠さん、美優を助けてくれてありがとう。助かったよ。」


その後、葵くんは月詠さんに向き直りお礼を言った。








『……別に約束守っただけだから。』



葵「…約束?」




それに対して月詠さんは素っ気なく返す。

その言葉を疑問に思った葵くんは首を傾げて聞き返した。





























































『困ったら助けると。』
























































今まで面倒くさそうにそっぽを向いてた月詠さんはその言葉だけはっきりと葵くん達の顔を見据えて言った。

生憎、長い前髪と眼鏡で月詠さんの目は伺えないが強い意思を感じさせていた。





































































鬼龍幹部「っ!」







その言葉に葵くん達は息を飲んでびっくりしている。






































『……神崎さん、帰るわ。』



美「えっ?あ、はい!今度お礼しに行きますね!(ニコ)」






月詠さんはそんな葵くん達の反応をスルーしてマイペースに欠伸をしながら帰ることを告げてきた。


それに対して私もあまり引き止めたら悪いと思いお礼の趣旨を伝えて月詠さんに手を降ったのだった。




























『んー。神崎さんは手首手当てしなね。』









そして、月詠さんは歩き出しながら振り向かず、片手を軽くひらひらさせながら手を降って闇の中へと消えて行った―…






































最後に爆弾を残して―…


































―美優Side終了―


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