月夜の黒猫
―湊Side―
あれから10分くらい経った。
あの後、僕達は朔夜ちゃんの後ろをついて歩いた。
最初は後をつけてきる子達がいたみたいだけど朔夜ちゃんはたぶん意図的に後をつけてた子達を撒くため曲がり角が沢山ある所を選んで進んでいた。
その為か、途中から後をつけてる気配がしなくなったのだった。
そして今僕達は―…
湊「……ラーメン屋…?」
そう、一軒のラーメン屋の前に立っていた。
めっちゃ外装は怪しかったけど、確かにラーメン屋が目の前に建っていた―…
ガラッ…
しかし朔夜ちゃんはそれを躊躇なく開けて中に入って行った。
それに戸惑いながら僕達も続いて入った―…
鬼龍全「…は?」
美「うわぁ!すごく綺麗!」
『……』
僕達は入って愕然とした。
なぜなら、外観とは180度違って、内観はインテリアにこだわった…それでいてシンプルな造りになっていたからだ。
?「いらっしゃーい!何名だ……って!朔夜?!」
『ん。』
するとそこに、店員らしい人が奥からやってきた。
最初その人は伏せ目がちでだるそうにこっちに歩み寄って来ていた。
しかし、顔を上げて先頭に立っていた朔夜ちゃんを視界に入れると目を見開きながら朔夜ちゃんの名前を叫んだのだ。
それに対して朔夜ちゃんも右手を軽く上げ応える。
?「…っ、朔夜ぁぁぁぁぁああああ!!」
『……』
鬼龍全「∑ビクッ」
美「∑えっ?!」
その人は急に朔夜ちゃんに向かって走り出し直前で両手を広げて抱きつこうとした。
ガシッ!
ミシミシ…
『春、危ない。』
春「いたたたたたたた!ごめん!マジすみませんでした!朔夜、頭蓋骨がぁぁあ!」
しかし朔夜ちゃんは走ってきた人に抱きつかれる前にアイアンクローをかました。
なんか見た目以上に痛いらしい…
やられてる人めっちゃ涙目だ……かわいそう。
まぁ、それを真顔でやってる朔夜ちゃんは恐ろしいね…。
『はぁ、とりあえず周り考えて。』
春「はーい(ショボーン)」
朔夜ちゃんはとりあえずアイアンクローをやめて男の人を諭しながら頭を撫でていた。
見るからに年齢は逆のはずなのにしっくり来てしまうのは、朔夜ちゃんより男の人の方が小柄だからだろう。
と、言っても僕よりは大きい。ウチのメンバーで例えるなら空くらい身長だった。
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