月夜の黒猫
蓮「単刀直入に言うが、お前、何もんだ…?あの動きといい威圧感といい、普通の人間が簡単に出せるもんじゃねぇだろ?」
葵「それに、昨日美優に聞いたんだけど、月詠さん美優に笛と匂い袋を渡したんだって?それを月詠さんが来る前に美優が吹いたっていうし、その笛は動物並の聴覚じゃないと聞き取れないって説明したらしいね?」
湊「ほんとかなー?って思って実際に吹いてもらったけど何も聞こえなかったよねー?」
空「(コクン)」
要「あぁ。そこでもう一度聞く。てめぇいったいなにもんだぁ?」
その問いかけに俺達は順序立てて疑問をぶつけた。
パキンッ…
『……何者であるか…ね。んー…春?
何者だろう?』
(ズルズルズル)
春「さあ?人間辺りかなぁー(笑)」
ガクッ!
湊「ちゃんと答えてよぉ!」
その疑問に対して月詠朔夜は割り箸を割りながら思案し―…
東雲さんにその答えを求めながらラーメンをすすり出した。
それに対して東雲さんも作業をしながら適当に返している。
その答えに俺達はコントのようにコケた。
そして、湊が即座にツッコんだ。
カチャッ…
コトン、
『はぁ、何者であるかなんてそんなに重要なことか?てか、自分が何者なのかなんて普通に生活しててわかるわけないでしょ。それに善か悪かの判断ができれば何者でもいい気がする。君らも別に、仲間内全員の過去を全部共有してるわけではないだろ?それぞれ触れられたくないことくらいあるだろうしな。でも別にそれを知らなくても問題なく仲間として成り立ってるはずだ。仲間にそいつが何者かなんて疑問は浮かばないだろ?つまりはそういうことだよ。それに君らは何者かを知ってその後どうする?ただ興味本位で聞くだけ?喧嘩をふっかける?利用価値があれば仲間に入れる?ぶっちゃけそれめんどくさい。ってことだから、総じて私は月詠朔夜でありそれ以上でも以下でもないちょっと闘える人間ってことで行こうと思う。』
鬼龍全「………(ポカーン)」
美「月詠さんが、…めっちゃ喋ってる!」
春「おー!レアだ!付き合い長いけどめっちゃ喋ってるの久々だわぁー(笑)息継ぎどこでしてんのか未だにわからんww」
湊の言葉に対してふざけた雰囲気を一瞬で消した月詠朔夜はラーメンの湯気で曇った眼鏡を外してテーブルにおいた。
そして、息継ぎしてんのかわからないマシンガントークで俺達を黙らせたのだった。
確かに月詠朔夜の言い分は正しかった。
俺にだって仲間に言えてないことの1つや2つはある。
実際、仲間のそう言う部分には触れて来なかったし別にそこを気にしないでも今まで仲間として成り立ってきたんだ。
俺達は今回のことで、いろいろとあせっていたのかもしれないな……、
『春、前髪邪魔だからピン貸して。』
春「はいよー。ほれっ!」
『ありがと。』
そんな感じで思考を巡らせていると、徐ろに月詠朔夜が東雲さんに声をかけてピンをかりた。
そして、鼻先まで伸びている前髪を七三の割合で分けてピンをつける―…
蓮「…!」
葵「…っえ?!」
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