月夜の黒猫
あれから僕は担任からの話しを聞きながら悶々とさっきのことを考えていた。
そんなこんなでやっと解放されたのは放課後だった―…
僕は急いで帰るね仕度を済ませ足早に下駄箱にむかった。
できる限り人目につかずにかえりたかったからだ――…
やっとの思いで下駄箱につき、靴を履き替えようとした瞬間―…
女1「あっれー?空君じゃーん!今日は1人なんだねぇ!」
女2「あっ!ほんとだぁ~!」
女3「えっ?なになにぃ?空君?!ちょーラッキーじゃん!」
空「……っ!」
ゾワッ
俺はケバい女達に囲まれてしまった。
瞬間、キツい香水の匂いが漂う。しかも、それぞれ違った香水をつけているみたいで、混ざって更に気持ち悪くなった。
たぶん今、僕はすごく顔色がよくないだろう……、
女3「あっ!そうだぁー!空君1人ならウチらとあそぼよぉー!」
女1「ねぇねぇ!いいでしょぉ?」
女2「そおそお!今日は空君だけみたいだしさっ!」
空「………っ、」
女3「ウチらとあそぼ?」
僕が気持ち悪さに耐えていると、女達が勝手に話を進めていく。
女2「さっ!行こぉ?」
空「っ、やめっ…!」
フワッ
そして、1人の女が僕の腕を掴もうとした時、過去のトラウマがフラッシュバックして呼吸が苦しくなる、そこで僕は抵抗しようとした…
しかし、嗅いだことのある優しい香りが僕を包み視界が突然暗くなった――……
ボソ
『…ゆっくり吸って吐いてを繰り返して?落ちついて呼吸すれば大丈夫。怖くない。』
空「…っ、ん……、」
ボソ
『…そう。いい子。』
女2「ちょっと!あんた誰よぉー!後からきて空君横取りする気ぃ?!ってか、空君に気安く触ってんじゃないわよ!」
その匂いの正体は月詠だった。僕の背中側から手をまわし、目を手で覆って僕を自分に寄りかからせ支えた。
そして僕の耳元で周りに聞こえない小さな声で囁いた―…
ちょっとくすぐったかったけど、僕は乱れていた息を月詠が言った通りに整えていく。
すると、月詠はもう一度いつもより優しい声色で囁き頭をひとなでした。
なんだか、その手付きが優しくて僕は緊張していた身体から少し力を抜いた――…
そんな時、さっき僕の腕を掴もうとした女が金切り声で月詠に怒鳴ってきたのだった。
―空Side終了―
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