月夜の黒猫



空「…(なんか、冷たくて気持ちいいな…、)」




ふと、額の上にある冷たい感覚に僕は意識が浮上する。


僕は額に手を持って行きその正体を触った。





































空「……濡れタオル…?」







そこには濡れたタオルが目元から額にかけて置いてあった。


僕はそっとそのタオルを外し目を開いた―…












































空「っ!…え?」





目を開けるとそこには茜色に染まった空と月詠のドアップがあった―…



てか、僕膝枕されてる…?


しかも、月詠も呑気に寝てるし…;



































空「……(それにしても、やっぱり不思議…、いつもの発作がおきないや、)」



パチッ
『……』


空「…(ビクッ)お、おはよ…?」


『ん。おはよ。』








それをいいことに僕は夕日に照らされた月詠の顔をじっと見つめてみた。



しかし、いつもなら見ただけで吐き気がして、ましてや触れたら失神することが常だった僕なのに、見ても触れても大丈夫だったのははじめてで変な気持ちになる―…



そんな思考のままいつの間にか月詠を凝視していたようだ、


その刹那―…

















































急に開いた月詠の眼とバッチリ見つめ合うかたちになってしまった。


因みに、僕は女嫌いの他に極度の人見知りだ。


何を言ったらいいかわからずとりあえず挨拶をしてしまった。



それに対して月詠は普通に返してきた。





















































『…で、大丈夫そうならゆっくり起き上がって。』

空「えっ?」





月詠にそう言われて僕は聞き返してしまった。


















































『人がくる…、5人。男4女1…美優か…。走ってるからすぐくるな。とりあえず起きな?』


空「…えっ、えっ?人…?」







僕が狼狽えていると月詠はそう言ってから僕の背中を支えて起し、ベンチに座り直させた。


僕には人がくる足音は聞こえなかったから軽く混乱ぎみだ…、



そんなことを考えていた瞬間―…


























































バンッ
屋上の入り口が勢い良く開いた―…












―空Side終了―



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