【短編】願わくば。






冬。
俺たちが会う約束をした日が近づいてきた。


指輪もきちんと準備した。
会えなかった日の分の重みが俺に現実味を感じさせる。



滅多に俺の鳴らない携帯が、君の着信を告げた。




「ごめん、好きな人ができた。
別れよう。」



画面に表示された文字は、手にした指輪の輝きを目立たせる。
まるで君と出会う直前の、俺と周りの人間のよう。






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