櫻唄
「誠の武士ですか?」
私は真意を読めず小首をかしげる
「私はね、最後の最後まで武士として幕府を支えたいんだ」
そう語る彼に私はいつの間にか口を開いていた


「素敵ですね。私は刀しか出来ないから、命尽きるまで武士でいたいと思っておりました。しかし、女故に武士とは呼べぬものでした。…あなたのいう誠の武士というものになれるなら私も精進せねばいけませんね」

そう言い笑えば、近藤さんは、いつかはなれるはずさと
私に笑いかける
土方さんや山南さんも穏やかな顔で微笑む

その後土方さんに部屋を追い出されるまで
この平穏な空気が好きだなと感じていた
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