櫻唄
第一曲
目が覚めると見知らぬ一室でふと起き上がればそこにいたのは文机に向かう男性で私はその後ろ姿が懐かしいものだと分かると声をかける

「山南さん…」
ふいに振り返る彼はやはり山南さんでしかなくて
私は笑みを零す

「おはようございます。お怪我は大丈夫ですか?」
にこやかに聞いてくる彼に懐かしさを覚えながら
痛みは引いたと話したと同時に 
すーっと襖が開かれる

「へぇ。良かったね」
そこに立つ彼は皮肉にも見える笑みを浮かべ
こちらを見ていた
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