恋物語。
「キミの会社の高橋さん。あれは完璧、知沙のこと好きだよ?」
「っ…!!」
朱里と同じようなことを言う彼に私は心底驚いた。
目だって見開いたし声も出ないぐらいだし…。
って、ちょっと待って…!?
じゃああの時、高橋さんが言ってたことって…もしかしてこれのこと…!?
「そんな驚くほど、ビックリしたの?まさか…気づいてなかったとか?」
「あっ…いやっ…薄々、というか…好意的に思ってくれているのかな、とは…思ってました…」
今、聡さんがどんな顔をしているのかは、はっきりとは分からない。
だけど…よくはない顔だと感じた私は彼から目を逸らすように俯いた。
「じゃあ何で言わなかったの?彼、知らなかったみたいだけど。」
「あのっ…えと…言うタイミングが…難し、くって…」
「ほんと悪い子。知沙は俺のなのに、それを言わないなんて。」
「ごごごごっ…ごめんなさいっ…!これからは気をつけ…っ」
そう言い顔を上げようとした時、後頭部に彼の手が添えられる。
そして、その手がグッと力を込めて引き寄せると唇が重なった。
「っ…!ちょ、ちょっと聡さんっ…!!何やってるんですか…っ!?」
唇が離れるとすぐ、彼は私の着ていたブラウスのボタンを2、3個はずしにかかる。
「何って…知沙は俺のでしょ?だから…その証、残してやる。」
「っ…!!」
そう言った瞬間、首筋の真ん中辺りに吸いつた。
これがどういう意味を表すのか…私は知っている。
もう何度も…この“印”を彼につけられてきたのだから。
「……聡さんのバカっ…こんな上にあったら…絶対、隠せない…っ」
「なに言ってんの?これ…悪い子の知沙への“お仕置き”だから。」
その行動にムスッとなった私は右手で彼の胸を叩き頭も彼に預けて呟いた。
そんなことを言っても全然怯まないというのは知っているけれど…
こんな“お仕置き”をする彼に何も言わずにはいられなかったんだ。