恋物語。
「…お決まりになりましたら、お申し付け下さい。」
一礼をするとスタッフの方は、その場から離れていった。
「知沙ちゃん、何頼む?」
「え、あー…どうしようかな…」
真向かいに座る井上さんにそう聞かれてテーブルに置かれたメニューを開く。
パスタかぁ…あ、リゾットもある…ん~…どうしよう…。
「…ふふ。」
「え…?どうかしました?」
メニューに目を向けていると突然笑い声が聞こえてきて顔を上げた。
「あ、いや…悩んでる姿すらも可愛いなぁ…と思って」
「///…」
“可愛い”だなんて言われて恥ずかしくなり何も言わずに俯く。
か、可愛いなんて…そんなこと全然ないってば…っ
「で…決めれた?」
「え、えと……はい、これにします。」
そう聞かれてメニューの商品を指さした。
「OK。あと飲み物なんだけど…適当に頼んでもいいかな?」
「え…?」
た、確かに…普段、私が頼むような物ってなかったような…。
「大丈夫だよ、ちゃんと飲みやすいもの選ぶからさ。」
井上さんはフワッと笑ってそう言う。
この前だって、すごく飲みやすいお酒を頼んでくれたし…今日も任せちゃって…きっと大丈夫だよね…?
「あ、はい…お願いします…」
「…了解。」
そのあと井上さんはスタッフの方を呼び、料理とお酒の注文をした。