恋物語。
魔力
―ある日の夜。
「聡さん…」
ソファの隣に座る彼女が甘えた声を出し腕と指を絡めて俺に寄り添う。
ちなみに今は…彼女と家飲み中だった。
あまり酒の強くない彼女は…缶チューハイ2、3杯で酔ってしまう。
そして完全に酔っ払うと…普段は見せないほど俺に甘えてくるんだ。
「知沙…酔っ払ってるでしょ?」
「むー…酔ってないもんっ…聡さんの意地悪ぅ…っ」
顔を覗き込んで見ると頬を膨らませてそう言う。
おい、待て待て…。意地悪って…。
「これで意地悪って言われたら全部そうなるんだけど。」
「だってそうだもんっ…聡さん、いっつも私に意地悪するんだもん…っ」
声は甘く、瞳はうるうる。酔っているせいで目が据わっているように見えた。
「別にいつも意地悪してるわけじゃないでしょ?」
「むーー…意地悪してるよぉ…っっ」
再び頬を膨らませた。
やっばい、可愛すぎる…。だからたまに、こうやって飲ますんだけど。
「分かった分かった。どうしてほしいの?俺に」
「えっとぉ……眼鏡取って…?目がしんどい~…」
「了解。」
俺はそう言って甘えた声を出す彼女の眼鏡に手をかける。
そのまま顔からはずし目の前のローテーブルに置いた。
てかいつも思ってたんだけど…知沙って…。
「知沙ってさー…」
「んん…?」
「眼鏡取る時いつも目閉じるよね?」
「え…?そうだっけ…?」
「うん。だからその時…いっつもキスしたくなる。」
「///…っ!!」
俺がそう言うと目を見開いて、さらに顔が赤くなる彼女。
「へっ…変なことっ…言わないで、下さい…っ」
照れ隠しなのか…彼女は俺に抱きつく。
ぷっ…変なことって…。
「全然変なことなんて言ってないけど?」
俺は抱きつく彼女を抱き締めた。