恋物語。
「ゆ…言ってますぅ……キスしたいなんて言うとか…っ」
後半は呟くように言い抱きつく力が強まる。
「可愛い…」
俺はそう呟き彼女の頭を撫でた。
可愛すぎるんだよ…。だから意地悪したくなるんだ。
知沙は…出会った頃から変わらない。純粋で、すぐ顔に出るし…。
だけど、あまり甘えてくることがない。だから前に聞いたことがある。
“何で甘えないの?”って。そしたら…“男の人への甘え方が分からない”と言われた。
とても知沙らしいと思った。知沙は恥ずかしがり屋だから…積極的に出来ないのだろうと。
だから、この“今の彼女”を見つけた時…正直、かなり嬉しかったんだ―…。
「ねぇ聡さん…」
「なに?」
俺の胸の中。彼女が上目遣いで、こちらに目を向ける。
「好き…っ」
言いながら俺の首に腕を回し…唇を重ねてきた。
「……言ってることと、やってること真逆だけど?」
「い…いいんです…っ!私が…したかった、から…っ///」
俺の言ったことにまた恥ずかしくなったのか…彼女は顔を赤らめて俯く。
やばいなぁ…このギャップが堪らなく可愛い。
「じゃあ…―、」
「っっ…!」
彼女の顎を掴みクッと持ち上げる。かなり驚いたような表情を見せた。
「―…俺もしたい。」
それだけを言い唇を重ねる。軽く何度も何度も…。
「んっ…もっと…っ」
すると彼女のスイッチが入ったのか…首に回された腕が少し狭まる。
その頃には顎から手を離し彼女に密着するよう身体を抱き締めていた。
そして…甘く深い口づけをする―…。
こんなにも甘えたキミの姿が見られるのは酒の“魔力”を借りた時だけ。
だから俺は…これからも時々、魔力の力を借りて…キミを酔わすよ―。
【END】