恋物語。
―――――…
――――――…
「…ご来店ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
「ごちそうさま」
一礼するスタッフの方に井上さんはそう言って2人でお店を後にした。
「あのっ…ありがとうございます…」
「ん…?何が?」
横並びに歩きながら申し訳なく井上さんにそう言う。
「え…ごちそう…して頂いたので…」
「え、あぁー…そんなの気にしないでよ。彼女には奢ってあげたい主義だからね」
「…!!」
井上さんはニコッと微笑み私は心の中で驚く。
か、彼女…っっ
「あ、そだ。まだ時間…大丈夫?」
「え…?あ、はい…大丈夫です…」
そう聞かれて腕時計を見ながら答える。
もうすぐ22時ではあるけれど…今日はご飯食べてくるから遅くなるって、元々お母さんには言ってあるし…それに…。
「じゃあ…もう少し、一緒にいない?」
もう少し…一緒にいたいな…って思っ…
「へ…っ!?」
私が思っていたことと同じことを言う井上さんの言葉に驚いて慌てて顔を上げた。
「ダメ…?」
「っ…じゃない、です…」
「…よかった。」
真剣な眼差しで見つめてくる瞳にそう答えると安心したような優しい瞳へと変わり…
「っっ…!」
彼の腕が私の肩へと回された――。