恋物語。
―数時間後。
「あ…そろそろ帰る?」
リビングのソファに並んで座りテレビを見ていたら突然、聡さんがそう言った。
「ぇ…」
「俺、送るよ。」
彼はそう言い立ち上がろうとした、けれど…
「……やだ…っ」
彼の服の裾を掴み俯いてそう言った。
「え…?」
「今日は……帰りたくない…」
「知沙…その意味、分かってる?」
彼はソファに座り直しそう聞いてきた。
「っ…」
私はそれに黙って頷く。
「…でも家は?お母さんとか心配しない?」
「……大丈夫、です…」
だって…お母さんにはもう言ってあるもん…。“泊まってくるかも“って。
けど何で今日は…そんなこと聞いてくるの…?
ホテルに行った時は…一度だって言ってこなかったくせに…っ
「……じゃあ…泊まっていく?」
「………はい…っ」
私はゆっくりと顔をあげて彼を見つめた。
「なら…、」
「っ…!」
彼はそう言うと私の肩を掴みグッと引き寄せ、
「…今夜は、ずっと離さない。」
「//…っっ…っ」
耳元で甘くそう囁き…私の唇を塞いだ―。
「ん…」
そのままで角度を変えようとした時、唇は離された。
「…これ取るね?」
「っ…」
彼は一言そう言うと私の眼鏡を取り、ローテーブルの上にそれを置く。
眼鏡がなくなり、ぼやけた視界の中で…彼の顔だけははっきりと見える。
「っっ…」
そして…再び唇は塞がれた――。