恋物語。
「そう!MASU!俺めっちゃ言われるんですよね~…」
ふぅ…と彼はため息を零す。
「え…?嫌なんですか?」
「いや…別に嫌ってわけじゃないんですけどね。毎回言われるのは面倒臭いなって、ちょっと思ってて」
「ぇ…」
なら…何で私には自らカミングアウトしたの…?
「…話のネタですよ。」
「え、何が…?」
突然そんなことを言われて頭がついていかない。
「だって知沙さん…“何で私には言ったの?”って思いましたよね?」
「っっ…!!!」
初対面の彼にすら心の声がバレてしまうなんて…っっ
「…という訳で、ご褒美下さい。」
「ぇ…っっ…!」
彼はそう言うと私の眼鏡に手を触れ、それをはずした。
「あぁ…やっぱり綺麗っすね、こっち…」
「っ…」
彼はまじまじと私を見つめる。
そんな彼の行動に…私は身動きが取れなくなっていた。
まるで…金縛りにあったかのように―。
「可愛い…」
呟くように言うと私の頭を撫でる。
何だか分からないけど…異空間にいるみたい…。
抵抗することすらも忘れてしまうぐらい…。
でもっ…でも私には……っっ
「……慎一くん…?」
聡さん、がいるんだから…。
「…あ、すみません。つい…魅入っちゃいました。」
慎一くんは我に返ったのか私から手を離した。
「み…っ!?」
魅入るって…!!こんな私に…!?
「あ、また驚いた。ねぇ知沙さん。知沙さんは自分のことをどう思っているか知りませんけど…めちゃめちゃ魅力的ですからね?絶対に覚えておいて下さい。」
慎一くんはそう言うと…MASUくんにも負けないほどの可愛らしい顔で微笑んだ――。