恋物語。
ガチャン…ッ
「…知沙。」
「え…っっ…!?」
聡さんに呼ばれて振り返ったと同時、彼は私の腕を掴み私の身体を壁へと押しつけ…顔の横にもう片方の手をついた。
「今日…随分楽しそうだったね…?そんなに、あいつがよかった…?」
「っ…」
そう言う聡さんの顔は…すごく怖く感じてしまう。
「ねぇ、知沙…答えなよ…?」
「っっ…」
だけど彼は私の気なんて知らないで顔を近づけてくる。
もう無理…っっ
私はそう思い顔を逸らした。だけど…
「…こら。逸らさないの」
「っっ…!」
壁に手をついていた方の手で顎を掴まれて視線を無理矢理合わせられる。
「知沙…知沙って、そんなに悪い子だったっけ…?“お仕置き”が必要かな…?」
「っ…!!!!」
こんな…悪魔みたいな聡さんを見たことは今まで一度だってない。
っていうかっ…!!“お仕置き”ってなにー…っ!?
「ゃ……嫌、です…っ」
「じゃあ…本当のこと、話してくれる?」
ほ…本当のこと、って…っ
「た…確かに…前回よりも楽しいって…正直、思いました…。
だけど…それは慎一くんだったからとかでは…っ」
「慎一くん…?」
“彼”の名前を出すと明らかに不機嫌な表情になった。
「っ…」
な…何でこんなに不機嫌な顔をするの…?
撮影を見ていたのなら私たちのやり取りを知っているはず…。
「……残念ながら今日は、あまり見れなかったんだよね。戻ってきたら終わりかけだった。」
「っ…」
やっぱり…聡さんには心を読まれてしまうんだ…。
言いたいことが、ほとんど当たっている…。
「あぁー…!!何かムカついた、南に。だから充電させて。」
「え…っっ…!?」
聡さんは私の返事も聞かないで私の唇を塞いだ――。