恋物語。
――――…。
すっごく…幸せな夢を見た…。
顔ははっきり分からないんだけど…私と、誰か男の人が…楽しそうにお喋りをしている、そんな夢。
会話も何もかも覚えていないけれど…目が覚めた時、“幸せ”っていう気持ちで溢れていたから―。
「おはようございます…」
「おはよう、知沙。」
リビングに行くと聡さんは既に起きていてコーヒーメーカーを動かしていた。
「やっぱり…それ萌えるわ。」
「//…っ!も、もう…っ!!そんなこと言わないで下さい…っっ」
朝から、そんな発言をする聡さんに顔が熱を持ち始める。
何が“萌える”のかと言うと…
昨日は急遽、聡さんのお家に泊めてもらうことになったから…私に合うパジャマなんてない。
だから聡さんのスエット上下を貸してもらって、それを着たのだけど…私にはブカブカすぎて…
『何それ?超ー萌えるんだけど。』
散々、そのネタで遊ばれたのだった――…。
「分かったよ。知沙…そこ座りな。」
「はい…」
聡さんにダイニングテーブルに座るよう言われた私はそれに従った。
「コーヒー…ダメだったっけ?」
向かい側に座った聡さんにそう尋ねられる。
「あ…はい…」
「だよね…?だと思って…これ、買っといた。」
聡さんは後ろにある食器棚の戸をあけ、スティックタイプの紅茶を取り出した。
「っ…」
やばい…。聡さんが優しすぎて…泣きそう…。
「何、どうしたの…?もしかして感動してる?」
「……その“まさか”です…」
「え、マジで?そんな大したことしてないのに。」
私がそう言うと彼は少し驚いた表情をした。
「そんなことないですよ…。あの、聡さん…私…聡さんに“言いたいこと”があるんです…」
「うん。……なに?」
まっすぐに彼を見つめてそう言うと彼は柔らかな顔を私に向けれくれた。
「あの…っ」
ドキドキドキドキ…ッ
ドキドキが最高潮に達してしまい、私は胸の前に手を当てて俯き目を閉じた。
こ…こんなにも緊張するものなの…?想いを“伝える”って…。
みんな…こんなにもドキドキして…“好きな人”と結ばれていくんだ…。
聡さんもあの時…“ドキドキ”していたのかな…―?
「私っ……聡さんが好きです…っ」
再び顔を上げて…彼を見つめた――。