恋物語。
「何か…全然振り向かなかったらしいね?“すごい苦戦した”って言ってたよ?」
「//…っ」
笑ってそう言う純也くんに私の顔は熱を持ち始める。
もう…っ!!聡さんのお喋り…っっ
「でも……ほんとに好きみたい、知沙ちゃんのこと。」
「//……知ってる…。」
「あはは。だよね?ごめんね?余計なこと言って。」
「ううん…。純也くん…ありがとうございます、聡さんのこと…」
「どういたしまして。それじゃあ。」
純也くんはそう言ってドアを閉め帰っていった―。
「……聡さん…」
悲しい気持ちだったのが一瞬で嬉しい気持ちになり…堪らなく愛おしくなって彼の頭を撫でる。
「ふふふ……くすぐったいよ…知沙…」
「我慢してください…。あなたが大好きなんだから…っ」
「ふふ……俺、幸せだ…」
聡さんはそう言って、ふにゃっと笑う。
本当に普段の聡さんとは全然違って…何だか可愛い。
「聡さん…!もうそろそろ立って下さい…っ」
私は彼の身体を押して立たせようと試みる。
「えぇ~~…。」
「もう…。駄々こねないで下さい…!ベッドまで行きますよ?」
グイ…ッと最大限の力を出すと、ようやく聡さんは立ち上がってくれた。
「っ…」
そして聡さんの身体を私自身で支える。
重い…。当たり前だけど…すっごい重いよ…っ
「聡さん…?歩いて下さいね?分かりました…?」
私はそう言って一歩、一歩、寝室へと歩いて行った――。