恋物語。




「ちーさっ……早く…っ」



「……分かりましたよ…。します…っ」


駄々っ子な聡さんに根負け。



「ふふふ……やったー…」


自分の要求が通ったのがよっぽど嬉しいのか…さらに、ふにゃふにゃとした顔で笑う。



「……。」




あぁ…何だろう…?


こんな姿も私しか見ていないのかな…?とか考えたら…何だか可愛いと思ってしまう。
“恋とは盲目”と言うけれど、それは…あながち間違っていないのだと、そう思った。



だって現に私が…そうなりかけているから…―。




「ふぅ…」



ため息を一つし、眼鏡をはずした。それをベッド脇の物置スペースに置く。
その方が視界がはっきりと見えないから、まだマシかな?って思ったから。


あと…何だか嫌な予感もするし―…。




「聡さん…目、閉じて下さい。」



「ん…。」


さっきまでの駄々っ子は何だったのか…。
聡さんは驚くほど素直に私の言うことを聞いてくれた。




ちゅ…っ



そして…彼の唇に自分のそれを重ね合わせた――。





「ふふ……知沙…」



「っ…」


聡さんは…私をギュッと抱き締める。



「好き……大好き…」


そう呟いて、さらに強く抱き締める。




聡さん…




「……私もです…」





恋に“堕ちる”スピードは、あまりにも早かった―。




だって…私はもう…




“あなた”しか見れないんだもの――…。






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