恋物語。
ガタ…ッ
「え…?ちょっと朱里…っ!?」
朱里は無言で立ち上がって近くの横断歩道を渡って向こう側へと行ってしまう。
そんな姿を見た私も慌てて朱里を追いかけた―。
「純也…っっ!!」
「え…?朱里…!?」
彼女が名前を呼ぶと…彼は振り返り、かなり驚いた表情を見せる。
「ちょ、待って…!?何で朱里が…?」
「何でなのは、こっちだよ…っ!!その人、誰なのっ!?私のこと……もう、どうでもいいの…?」
朱里は…泣いているんだと思う。聞こえてくる声が涙声だったから。
「は!?何でいきなり、そうなるんだよ…!?そんなこと一言だって言ってないだろ!?」
「じゃあ……最近、変だったのは何で…?その人とのことじゃないなら…何なの…?」
「……分かった…なら全部話すよ。ここまで朱里を追い詰めた罰だろうし。」
「え…?罰…?」
「まず、この人ね…?この人は…俺の姉貴。会うの初めてだろうけど。」
「「え…?」」
純也くんの告白に朱里と声がハモる。
純也くん…お姉さん、いたんだ…。
「あなたが朱里ちゃんね?初めまして。純也の姉の亜弥(あや)です。」
そう言って純也くんのお姉さん・亜弥さんは、にっこりと笑う。
その表情が…笑った時の純也くんにそっくりだった。
「…で。このうちの姉貴に、いろいろ相談してたんだよ。…朱里にサプライズしたくて。」
「ぇ…?サプライズ…?」
「そう、サプライズ。朱里…もうすぐ誕生日だろ?」
「!」
確かに…朱里の誕生日は、もうすぐ。もう…約一週間後に迫っていた。