恋物語。
「瞳…お前は知沙に嘘をついた。その嘘のせいで…知沙がどれだけ傷ついたのか…お前、分かってるのか?」
「傷つく…?そんなの私だって…っ」
「……お待たせ致しました。」
その時、注文していた飲み物が運ばれてきて…店員さんがそれを置いていった。
「瞳…いい加減、その性格やめろよ。それ…昔からのお前の“悪いとこ”だぞ!?」
聡さんの口調は段々と荒々しくなっていく。
「ぇ…」
早川さんの…悪いとこ…?
「あの時だって、そうだった…。
俺と付き合っているにも関わらず…他の女の子と付き合っている男を好きになったから…俺とは別れて欲しいって…。
これだって、あの時と同じなんだろ…!?知沙が俺と付き合っているのを知って…“人のもの”が欲しくなっただけなんだろ!?」
「っ…。」
聡さんからそう言われると…早川さんは下唇を噛み締めて悔しそうな顔をする。
「…そうよ。先輩の言う通り。
偶然でも先輩と再会して…でも、その彼女が坂井さんだって知って驚いたっていうか…何だか悔しかった。
お世辞でも…私よりは可愛いとは思えない、この子に負けるなんて…。私は、それが嫌だったの…っっ!!」
「っ…」
早川さんはそう言うと…私のことをキッと睨んだ。
早川さんが、そんなことを思っていたなんて…正直、驚いた。
それに“可愛くない”とか“嫌”とか…さすがに、これには傷ついたかもしれない…。
「瞳……もう次はないからな…?次、知沙を傷つけるようなことをしたら…本気で許さない。」
聡さんは…早川さんを睨みつけて、そう言った――。