記憶の欠片
あっちゃんは
いくつもの涙を流しながら
話してくれた
その話はどこか
あいつと似てる
て言っても、
虐待を受けていた事しかない
んだけど
「その薬は、智の精神を安定させる薬。
智はそういうことが色々あってから
人間不信、パニック障害、対人緊張症とかが身体に出始めた。」
「身体にだって、まだ傷が残ってる。
足は傷が消えるクリームみたいなので
見えないぐらいまでなったけど、
身体とか腕は消えてくれないの」
「…だからいつもカーディガンを?」
「…うん。私のママが買ってくれたの
ママも同じ経験者の1人だからって」
同じ…経験者…?
「ママも私の父親にDVを受けてたの。
私が5歳の時、ママは毎晩殴られたりしてて私は偶然見てしまった。
それを父に見つかって、父は私まで
殴ろうとしたけど、ママが『この子にだけは手を出すな』って守ってくれたの」
「その後は2人は離婚して、私はママに
引き取られた。
私はあの男が憎くて仕方ない。
もう顔も忘れたし見たくない
それに父だなんて、思いたくもないの」
あっちゃんにそんな過去があるなんて
思いもしなくて。
何よりも衝撃的だった。