記憶の欠片

あれからどれだけ日向を
捜し回ったんだろう。

日向を捜している間に、
冬の寒さは増し風も冷たくなってきてる

でも冷静になってみると、
そんなになっては経ってなくて。

きっと15分しか経ってないと思う。

それでも俺たちはひたすら
捜し回った。

奈々ちゃんにも報告して

でもそれでも
いくら捜しても
日向は見当たらなくて。

「…ともちん!」

「…あっちゃん!いた⁉︎」

「…いない」

「…どこなんだよ」

泣きそうなあっちゃんを
なだめるように頭を撫でていた時、

ふと海の向こうの島に目がいった。

そういえば奈々ちゃんに
向こうの島には渡れるけど、

夕方にはそこに続く道が
沈んじゃうから気をつけてって言ってた

…もしかして。

もしかしたら、あの島にいるかも
しれない。

でももう道も沈んでるからな…。

…いや。

もう一か八か賭けてみるしかない。

気づけば俺はあっちゃんを
身体から離し、
沈んでしまった道へと足を運んでいた。

「…ともちん⁉︎そっちへ行くだけ
無駄だよ。智はそっちには…」

「そんなことわかんねぇだろ!」

食い気味に言い放った大きな声に、
あっちゃんはびっくりしていた

「…とにかく捜そう。
俺は島に行くから、あっちゃんは
先生と待機してて」

俺はあっちゃんが掴んでいた腕を
そっと離し、沈んだ道に足を入れた

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