記憶の欠片


それから部屋に戻り軽くシャワーを
浴びてから服を着替えてたら、

翔が部屋に戻ってきた。

「翔、話ってなんだ?」

「…あっちゃんから
見つける前の話は聞いたよ。
…でもさ、どうして場所
わかったんだよ?」

「俺はたださ、もし俺ならって
考えただけだよ」

もし俺なら…

1人になりたいと思うはずだって。

ここ周辺は、
そんなに1人になれる場所って
無いはずなんだ。

宿泊施設の自分の部屋か、
あの島しかないなって。

ただ、そう感じただけ。

「俺はただ日向の気持ちに
なってみただけだよ」

「…なんだよ…それ……」

翔は拳を強く握り
俺の胸ぐらを掴んできた

「…なんだよそれ⁉︎
なんでお前が日向の気持ちなんて
わかんだよ⁉︎
お前は何を知ってんだよ!」

叫ぶ翔の表情は
何処か哀しそうで辛そう。

「…お前は日向の…何を知ってるんだ?
…お願いだよ友也。
俺にも、教えてくれ。」

胸ぐらを掴んでいた手は
力が抜けて段々と翔の身体ごと
足元に下がっていく。

「…翔、いいからちょっと立って
ここ座れ」

とりあえず座り込む翔を
ベッドの淵に座らせる。

「…大丈夫か?」

「…ごめんな。
…俺、ちょっと顔洗ってくるわ」

翔はそう言って
部屋から出ていった
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