記憶の欠片
次の日
昨日の事は所詮口約束だったから
もう忘れてると思ったのに、
奈々ちゃんは全然覚えてて
朝に奈々ちゃんから
『放課後、いなかったら
単位無しだからね』
なんて悪戯な笑みを魅せられて
もう行くしかなかった。
放課後に教室で奈々ちゃんを
待っていれば、
「お〜、ちゃんといるいる」
「いるいる、じゃね〜よ。
奈々ちゃんが待っとけって言った
んだろ?早く終わらせよーぜ?」
「じゃあ、このプリントに学校名
書いてくれる?」
目の前にドンッと置かれた
大量のプリントの束を見て
倒れそうだった。
それな に奈々ちゃんは
出席簿みたいなのを書いてるだけだし。
まぁ単位落としたくないし
仕方ないか。
「てか、奈々ちゃんクォーター
なんだって?フランスと日本の」
「そうだけど、誰から聞いたの?」
「翔だよ」
「…もう私の話はいいからさ、
クラスのみんな話とか聞かせてよ?」
「クラスのみんな?
俺、最近越して来たばっかだったから
わかんねぇよ?」
「確か、友也くんはあつちゃんと
付き合ってて
翔くんが日向さんと付き合ってる
んだったっけ?」
なんでそんなことまで
知ってんだ?
こいつ…恐ろしい。
そんなこんなで、
手伝い1日目は終了した。