記憶の欠片
2.本当の事

誕生日プレゼント



あれからまた数日。

今日はあっちゃん家で
勉強中。

「あ〜あ〜違う違う。
ここはこうだって、
さっきも言っただろ?」

なんてあっちゃんの嫌いな科目を

教えたりしてる。

それなのにさっき教えたばかりの

とこをあっちゃんは普通に間違えた。

「…ごめんなさい」

俺に怒られて
ションボリするあっちゃんをみて、

少し言い過ぎたと後悔する。

「…まぁちょっと疲れたし、
休憩しよっか?」

「うん!」

ペンを机に置いて、

ベッドを背にもたれ掛かる。

「そういえば、今度の週末
ともちん空いてる?」

「うん。なんで?」

「…う〜ん、ちょっときて?」

あっちゃんに腕を引っ張られ、

隣の日向の部屋の前で立ち止まる。

「私の部屋の中、覚えといてね?」

そう言った後、
あっちゃんは部屋のドアを開ける。

日向の部屋を見渡してみるけど、
ちょっとした異変に気づく。

…なにこれ。

あっちゃんの部屋とは正反対。

あっちゃんの部屋は、
ピンクとか色んな色で飾られて
生活感があるのに

日向の部屋は、

部屋の片隅にベッドとタンス
部屋にはあまり家具がなくて

生活感がほぼ感じられない。

「…まるで生活されてない部屋
みたいでしょ?」

「…そうだね」

「智がここに住む時、智に
家具買いに行こって言ったのに
要らないって言うの。
智には必要ないって」

「じゃあどうやって生活してるの?」

「…智はいつもベッドに横になってる。
ずっと。ただ、目を瞑ってる。
部屋には背を向けて布団をかぶるの」

「…そうなんだ」

「…だから智になにかプレゼント
したいの。
今まで、智の誕生日プレゼントは
何がいい?って聞いても
要らないって言われ続けて来た」

「…要らないって言われても
あげ続けたけど、
毎回何かが足りなくて
だから今回は誕生日とか
関係なく何かプレゼントしたいの!」

「…わかった。
今度の週末、買い物行こっか?」

「…ありがとう」





< 33 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop