記憶の欠片
決勝戦の日。
あの日以来、またあっちゃんと
変な空気になっている
でも、今日の試合は
見にきてくれるって言ってたな。
試合が始まる少し前、
体育館で水分補給をしてたら
あっちゃんたちが来た。
「…友也」
「…あっちゃん。来てくれたんだ」
「…うん。
翔がここで見てていいよって」
「…そっか。
来てくれて嬉しいよ。…日向も」
そのあと、2人はコートの近くの椅子に
座って試合は始まった。
いつもどうり
みんなにパスを回していき
最後は俺か翔がゴールに入れる。
なんとか前半戦は終了。
24対35
って感じでちょっと負けてる。
「よし良く頑張った!
でもちょっと点が開いてるから
後半で逆転しろよ!」
「「はい!」」
いろいろ顧問から指示を受けて
試合が始まった。
後半戦が始まってから数分。
タイムはあと半分。
…くそっ。
このままじゃ逆転できないな。
こあちなったらスリーポイントを
入れないとな…。
実は、後半戦が始まる前に
翔が
「タイムが半分まできてヤバかったら
目で合図するから、
合図したらスリーポイント決めろ」
そう言ってたんだ。
だから俺は翔のほうをみたら
翔も俺をみて頷いた。
「友也!いけ!」
翔の掌から放たれたボールは
大きく宙を舞う。
それと同時に俺もジャンプして
ボールに手を伸ばしたけど
一瞬指先に触れただけで届かなくて
それどころかそのボールは、
あっちゃんと日向が座っている
椅子に向かっていった。
「日向!敦!」