記憶の欠片


その後、翔が日向は病院にいるって
言われたから

病院に向かった。

「日向、どうかしたのか?」

さっきは何故病院にいるのか

教えてくれなかったきら。

「ボールが日向の手と頭に
軽く当たってさ、
でも何故か過呼吸起こしちゃって。
だから病院に行ったんだ」

「…そっか」

翔は日向の過去を知らない。

だけどもうそろそろ、
話したほうがいいのかもしれないな。

「…あっ!あった病室!」

翔が教えてもらってた
病室を見つけたから

その病室に入ったら

ベッドには日向が眠っていて
あっちゃんが椅子に腰掛けてた。

「…友也」

「…あっちゃん。大丈夫だった?」

「….私は大丈夫だよ」

「…日向は?」

「智はちょっと過呼吸が酷くて。
今やっと治まったとこなの」

「…怪我は?日向が怪我したって
聞いたけど」

「…おでこと右手をちょっと
打ったって。
けど1、2週間で治るって」

「あっちゃん、俺なにか飲み物でも
買ってこようか?」

「…うん。ありがとう」

翔が病室から出て行って

不穏な空気が流れる。

「…友也、ちょっと話いい?」

「…なに?」

あっちゃんに腕を引っ張られながら

近くの談話室に連れて行かれた。

「…あのさ、友也…」

「…ん?」

「…別れよ」

…えっ?

あっちゃんの言ってる事の意味が

理解出来ない。

「…俺の事、嫌いになった?」

「…嫌い?…大好きだよ。
友也はいつも私に優しくしてくれた。
私にも、みんなにも」

「…でもさ、友也のその優しさは
時に人を大きく傷つけるの。
友也が本当に好きな人は誰⁉︎
私?智?誰なの?」

「…どうしてそこに日向が
出てくるんだよ。
別にあいつは…」

「関係あるよ!
今日だって先に智の心配して、
合宿の時だってそうじゃん!」

「…友也はわかんないの?
…私は、友也の昔の話を聞いた時
すぐにわかったよ」

「…なにを?」

「…友也の忘れられない人は……
忘れられない人は……」

「…忘れられない人は?」

「…智だよ」

「…えっ?」

「…友也の忘れられない人は智だよ!
同一人物なの!」

「…どうしてそう言えるんだよ⁉︎」

「…智もその人も虐待を受けた。
それに名前も年齢も一緒なんでしょ⁈
じゃあそうとしか考えられないよ!」

「……」

「…とにかく、別れよ。
今の友也はちゃんと
考えたほうがいいよ」

あっちゃんの言葉に

なにも言い返せなかった。

確かにあっちゃんの言ってる事は

正しいのかもしれない。

ただ、それだけじゃちゃんとした
明確がもてないんだよ。

俺はちゃんとあっちゃんの

泣いてる顔を見れなかった。


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