記憶の欠片
4.苦しみ
あの日あっちゃんと別れてから
どこから出回ったのかは
わからないが
別れたという噂が出てしまった。
だけど本当の事だ
あの日あっちゃんと別れてから
どこから出回ったのかは
わからないが
別れたという噂が出てしまった。
だけど本当の事だし、
否定もしない。
でもそれでも噂で留まる理由は、
別れた後でもあっちゃんと俺は
仲良く喋るから。
気まずくなる訳でもなく
避けるわけでもないんだ。
「そういえば友也。
奈々ちゃんと智のこと何かわかった?」
「ううん。でもいいの?」
「なにが?」
「…姉妹ってわかれば
2人に言わないといけないだろ?
そしたらまた過呼吸とか
起こすんじゃないのか?」
「…そうかもね。
でもね、私は智に記憶を取り戻して
欲しいって思ってるの」
「…どうして?」
「智は今もずっと記憶がない事で
苦しんでるの。
自分の昔を思い出せない、わからない。
それどころか、パニック障害とかも
持ってるから尚更辛い。
だからそこから出してあげたいの」
「…そっか」
あっちゃんもあっちゃんで
苦しんでる。
日向の苦しみを少しでも
和らげてあげたい、
その気持ちは俺も一緒だよ。