記憶の欠片

翔の思い


日向が奈々ちゃんと暮らし始め
一週間ぐらい。

日向も、やっと
姉として奈々ちゃんを
受け入れてきたみたい。

「…智、楽しい?」

「…うん」

「…ならよかった」

翔の前じゃちょっと
話しづらいから、

少し教室の隅で話す。

「よっ!おはよ!
なに話してんの?」

翔が登校してきて
なに話してるか聞かれたけど

答えられるはずがない。

だって奈々ちゃんと日向が
一緒に暮らしてるなんて
翔は1ミリたりとも知らないから。

「なぁなぁ、なんの話?」

友「…いや、その……」

「…奈々ちゃんって本当に
綺麗なスタイルしてるって話!」

俺が答えるのに困ってたら
あっちゃんが助けてくれた。

「…そっか」

翔は顔を顰めて
荷物を置きに行った。

もしかしたら、翔は何かを
知っているのかもしれない。

翔は人一倍そういうのに
気づくのが早いからな。

もうそろそろ、
言わなきゃいけない時期
なのかもしれない。

「…なぁあっちゃん。
…そろそろ翔に
日向の事話さない?」

「…もう…限界かな?」

「…限界だと思う。
翔は日向が大好きだから
薄々勘付いてるかもしれないし。
それに翔にだって
プライドはあるんだから…」

「…そう…だよね」

< 46 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop