記憶の欠片
放課後、翔に言われたとうり
屋上であっちゃんと
30分くらい待ってたら
やっと来てくれた。
「…翔?
日向とちゃんと話したか?」
「…あぁ」
「…話ってなに?」
「…日向と…別れた」
「…はっ?」
翔の言っている意味が
一瞬よくわからなかった。
別にあっちゃんも俺も
別れてほしいから翔に日向の過去を
話したわけじゃない。
なのに…どうして……。
「…なんでだよ?」
「…2人から日向の過去とか聞いて
でもそれでも日向のことは
大好きだった。
…ただ、彼氏である俺がいち早く
気づいてあげれなかった。
それどころか、泣かせてあげる
ことも出来なかった」
「俺、約束したのに。
いつか俺を好きにさせるって。
俺には…日向の苦しみさえ
半分こ出来なかった」
翔は、きっとずっと前から
気づいてたんだと思う。
全ては知らなかったにしろ
何か隠し事があるって事には
気づいてたんだ。
「…でもな、日向言ったんだ。
『ありがとう』って。
そんで苦しそうに微笑んでた。
俺、何もしてないのに。
何もしてあげれなかったのに…
ありがとう…なんて、言われる
筋合いないよな」
翔は拳を強く握って
泣いていた。
なのに俺はずっと翔に
隠し続けて…最低だよ。
「…ごめんな…翔」
「…なぁ、友也。
…日向のとこ、
行ってやってくれよ。
俺は大丈夫だから」
「…わかった」