記憶の欠片
今になって
なんであんな約束したんだろって思う。
だってもう会えないかも知れない人に
『ずっと守ってあげる』なんて、
言わない方が良かったかも。
「彼女綺麗だろ?めちゃくちゃモテるんだよ」
翔に言われてもう1度見てみる
確かに彼女は綺麗。
栗色の髪に、長いロングヘアー。
シュッとしてる顔、綺麗な目。
抜群のスタイルと
少しエロい身体つき。
それから
なんとも言えないあの雰囲気。
そりゃ寄ってこない男は
居ないとと思う。
「…でも彼女、変な噂があるんだ」
翔が少し声のトーンを落として
言ってくるから、俺もそうしてみる
「…どんな?」
「彼女ずっとカーディガン着てるから、
もしかしてリストカットしてるんじゃ
ないかって」
翔の口から出た言葉は、
思いもよらない言葉だった。
「あと、誰も住んでる彼女の住まいを
知らないんだ。誰も行った事がない。
でもあっちゃんの家に入るのを
見た人は何人もいる。不思議だろ?」
翔はそう言って、
また歌いに戻っていった。