記憶の欠片


日向は元々、小学生の時に
こっちに引っ越してきたらしい

それであっちゃんと仲良くなり
自分の家庭の事を話した

あっちゃんは

日向が母親から虐待されてる事や
昔の幼なじみの話を聞いても
一緒にいてくれて

でも、日向はまた引っ越す事になった

それは日向の祖母に虐待がバレ、
祖母の家に行くことになったからだ

あっちゃんは、離れてる間もずっと
日向を忘れた事はないらしい

それは日向も一緒だった

二人共、これで日向は幸せになれる。

そう思ってた。

けどそれは違ったんだ。

中学にあがってすぐに
祖母が亡くなった

日向はもう一度母親に引き取られ
虐待を受ける毎日だった

あっちゃんはその事は知らなかった

だって中学は別々だったから

その事を知ったのは、
母親に引き取られて1月後の事。

日向が通ってた中学の先生が
道に迷ってるとこを見つけたんだ。

先生は、ある生徒の家庭訪問に来たのだが道がわからないと言った

「ここら辺の家のことなら
大体わかりますよ」

「そうなの。
じゃあ日向さんって知ってる?」

「…日向…智美?」

「えぇ、1月前に越してきたの」

「…ぇっ…智こっちに居るんですか?」

「そうよ?なんだか最近、
学校にも来てくれないし
体育だって真面に受けてくれないの」

その瞬間わかっちゃったんだ

日向は今もまだ、
虐待を受け続けてる事を。

あっちゃんは
先生のもってた住所をみて走った

家に着くと、
玄関前には沢山のゴミの山と
ゴミの上に座って寝てる日向の姿が
目に映った

「…智!」

日向に駆け寄り、肩を揺すると
日向はやっと起きた

「智!大丈夫だった⁉︎」

そう言い抱きしめるも、
日向は何故か不思議そうにみてる

「…どうしたの?」

「……誰?」

って言ったらしいんだ

日向は虐待を受け続けて
記憶を無くしてしまった


その後、
あっちゃんのいる学校に移り
あっちゃんの家で暮らしてるらしい
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