泡沫幻夢-ウタカタ-
気取ラヌ美シサ
「クソ狐野郎」
「わらわは女子[オナゴ]じゃ。それから、クソは余計じゃ」
「……餓鬼?」
「少なくとも、そなたよりは年を重ねておる」
なんのやり取りかというと、さっきのクソ狐の名づけ大会だ。
外で会話を続けるには肌寒かったし、どうせコイツからは逃げられない。
しかたなく連れて帰って言われるがまま名前を考えているが、かれこれ1時間考えても賛成の声は上がらない。
俺は降参の意を示した。