果たし状
気がつくと、吉村先輩が一気に間を詰めてきていた。
ただならぬ雰囲気を感じ、思わず後ずさる。
「なんなんだよ…」
一歩一歩追い詰められ、ついに私の後ろは壁になった。
「なんなんだよ?
それは俺のセリフだ。
君は本当は、真希を裏切るようなことをしてるんじゃ無いのかな?」
ぱしっと手首を捕まれ、いよいよ逃げ場が無くなる。
「は?」
「真希のために俺に復讐するつもりだとか言って、それは俺に近づくための口実。
二人きりになることを望んだわけだ。
現に、今君は抵抗してない。」
こいつ…作り話をペラペラと…
「勘違いすんなよこのぼけ!
二人きりになるつもりなんてさらさら無かったわ!
つーか、抵抗してないんじゃなくて、しようとしても出来ないんだよ!
…………いっ!」
急に手首を掴む力が強まって、私の顔は苦痛に歪んだ。
上から冷たい声が降ってくる。
「まあ、そんなこと俺にはどーでも良いけどね?
…襲える口実になればなんでもいい。」