果たし状
これも初めてだ。
こんな、人に対して恐怖を覚えたのは。
「はなっ…せ、よ……!」
「震えてるよ?
ほら、もっと抵抗してみろよ。」
やつの顔がどんどん近くなってくる。
…ああ、ごめん真希。
結局私、なんにもしてあげられない。
悔しくて、目に涙が溜まった。
「泣くの?残念だけど、そそる要素にしかならない。」
残り、数センチ。
(もう、ダメだ…)
目をぎゅっと瞑った。
けど、なにもない。
ふっと、掴まれていた手首の感触が無くなり、はっと目を開けると………
倒れこんだ吉村先輩と、息を切らした日高がいた──。