ぎゅってして?
彼のヒミツ?
不思議な彼
あの日から、末村は度々この教室を訪れる。
…知ってることは、同じクラスではない事。
…名前が、末村信夜と言う事だけだった。
「梨乃…」
「ん?」
那姫ちゃんと話していると、急に那姫ちゃんの目が変わった。
「あの子…、毎回梨乃に会いに来てるイケメンだよね?」
あたしと那姫ちゃんは、ベランダで喋っていた。
那姫ちゃんの視線の先は、末村だった。
でも、数人の男子に囲まれてる?
「…大丈夫かな?」
「…何が?」
気にして無い振して、聞きたい。
「…あの男子、不良として有名だよ?」
あたしは那姫ちゃんの言葉の最後を聞いたと同時に飛びたした。
お願い!
末村、無事でいてっ!
廊下を走って、渡り廊下を渡る。
さっき末村と数人の男子がいた、裏庭に行く。
「…末村、…甘夏に最近ちょっかい出してるらしいなぁ?」
あたしは飛び出そうとした瞬間、その言葉が聞こえて出るタイミングを失った。
「ちょっかい出して何が悪い?」
冷ややかな目で背の高い不良を見上げる末村。
「あぁ?わかんねぇーの?甘夏にはファンクラブがあんだよ!…許可無しに告白したり、抜け駆けは無しってルールがよ!」
はぁ?
ファンクラブ!?
初めて聞いたんですけどっ!
しかもルールって、何っ?
告白に抜け駆けっ!?
高校に入ってから、中学以上に告白される回数が減ったと思ったら…。
「…抜け駆けの何が悪い?…自分が相手にされないからって…嫉妬?」
…ホントに末村はハッキリ物事言うよね…。
「殴ってもいいわけ?」
不良のこめかみがピクピクと動いている。