【BL】忘 れ な い




彼は隣で目を丸くして、そして声を上げて笑った。



「らしくねぇ口説き文句だな。」



そう言って酒を呷ろうとした彼の手から、酒瓶を奪って彼の代わりにそれを呷った。



「そんなんじゃないですよ。」
「てめ、それ俺の酒……」



と、恨めしく見てくるもんだから、残りを飲み干した。



「ああ!?」
「御馳走様でした。」
「ふざけんな!返せ!!」
「もう飲んじゃいました。」



べっと舌を出せば、彼は僕を睨む。


「もう許さねえ。」



彼はそう言って、僕の胸倉を掴んだ。


同時に彼の顔が近付いて、噛みつくような口付け。


容赦なく口の中を舌が動く。


まるで残った酒の香りを楽しむように。



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