哀しみの向こう
父親がハサミを握る手が 震えている。


小さなハサミでは 勝ち目がないと 認めたのだろうか?


「やめろ… やめてくれ…」
父親が 怯える口で 言った。


私は 狂った。
「あんたが 許せない…!!」


私は 包丁を握る手を 父親に向かって 振り続けた。
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