哀しみの向こう
「もう いいんだよ…」 祖父が両手で 私を抱きしめた。


私には 意味が分からなかった。


すると 祖父は言った。


「本当の事を 知れたから それでいいんだ。」


祖父母が 声を合わせて 私に言った。


「帰っておいで」
私は 泣いてしまった。


さっきまで 私のことを憎んでいた 祖父母には 見えなかった。


私の体には アザも傷跡も 残っている。
けれども 祖父母は私の体を 「汚れちゃいないよ」


そう言って 強く抱きしめてくれた。
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