哀しみの向こう
私が私物を取りに 実家へ来た時だった。


母が買い物に出かけていて 留守だった。

自宅の庭で 父親が植木鉢の 手入れをしていた時だった。


私は 父親に気づかれないように 裏口から 自宅へ入った。

両手で抱えて 運ぼうとしていた 写真立てが 床に落ちた。

「バタン」と 音をたて 私は足早で 裏口に駆け寄ると ハサミを手にした父親が 私を睨んで 立っていた。
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