哀しみの向こう
「何してるんだ?」 父親の言葉に 私は黙った。


「この家に お前が入るためには 俺の許可が いるんだぞ!?」

怒った父親は ハサミを手にした手を 私に向かって 振り下ろす。


私は 逃げようと 必死だ。


「この家はなぁ、もうお前が 来る所じゃないんだよ!!」


父親が言った この言葉に 私の脳の神経が 「プチン」と音を立てて 切れた。


私は 両手に抱えた私物を床に捨て 台所へ向かった。
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