彼と私は手を繋ぐ

隆弥が女の子を『とっかえひっかえ』しだしたのは、多分高校生の頃だったような気がする。

いつも違う女の子と歩いていて、次から次へと誘いに乗っていた。
幼なじみという事で、隆弥のガールフレンド達から文句を言われる事も増えて、私はその頃からあまり隆弥と一緒に居なくなった。

私は私で友達も出来て、隆弥との距離はどんどん広がった。
隆弥の悪い噂も何度か耳にしたけれど、私はあまり気にしていなかった。

高校三年生の時は、会話らしい会話もしなかったように思う。

だけど大学生になって、隆弥の母親から真面目な顔で言われたのだ。
…隆弥には、翠ちゃんが必要なのよ、と。

話を聞けば、隆弥はせっかく進学できたにも関わらず、一人暮らしを始めたのを良いことに、女の子を連れ込んでばかりいるらしかった。

…そもそも、そうなる事は高校時代の隆弥を見ていれば予想出来たことであって、隆弥の両親の選択ミスだと言わざるを得ない。

それでも私は、うっかりイエスの返事をしてしまったのだ。

久々に話した隆弥は、一年以上のブランクを全く感じさせないほど、自然に私に笑いかけてきた。

「みーちゃん、久しぶりだね。…嬉しい、またみーちゃんと仲良くできるの」

大学生になった隆弥は、そう言って少し照れくさそうに笑ったのだ。

その時は私も、つい絆されたような気になっていたのだけれど、
……実際、隆弥のダメ男っぷりは、私の予想を遥かに上回っていたのだった。

< 3 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop