彼と私は手を繋ぐ


「辻さんに、バレた。好きだって」

「告白したってこと?」

「や、告白っていうか……、成り行きで」

「えー、なにそれ。で?で?辻さん何て言ってたの?」

「え。いや、別に……なにも」

「何も、ってなによ!?何かあるでしょ?」

「いや、本当に何も言われてないんだってば。強いて言うなら、スルーしてるのが返事?みたいな」

「なんだそれーっ」

うがーっ、と頭をかきむしってから、唯はテーブルに突っ伏した。
当の本人よりも大きなリアクションだ。

私達は、場所をいつものファーストフード店に移動した。
二階の窓際、一番奥は、私達の特等席みたいなものだ。


「で、どーすんの?」

「う~ん、……辻さんが忘れたフリしてくれるなら、それに便乗しようかと思ってる」

「えぇ~?」

唯はひどくガッカリしたようだ。
だけど元々、伝えるつもりのなかった気持ちなんだし。

「あそこのバイト、やっぱり好きだし。……変に居づらくなって辞めるのも寂しいもん」

「辻さんと付き合うって選択肢はないの?」

「や、だから、スルーされてるし。……それに、」

………それに、隆弥との事もあるし。

昨日の事を思い出したら、胸がチクリとした。


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