彼と私は手を繋ぐ
………隆弥だ。
そういえば、今日は部屋の掃除に行く日だったっけ。
今日はとてもじゃないけど行けそうにない。
通話ボタンを押す。
『もしもし?みーちゃん?』
「………きょう、むり。行くの無理そう」
『え、なにその声。風邪?』
「ん、だからむり」
『だ、大丈夫?声がきつそう』
キツいよ、キツいですよ。
だから早く電話を切りたい。
『俺、行こうか?なんかいるものある?』
「や、皐月居るし。……てか、隆弥に出来る看病なんてないでしょ……」
『う~、でも、心配だよ。行くよ、今から』
「やだ。来るな馬鹿。ちょー迷惑」
あー、喋るのキツい。眠い。
「治ったら、ちゃんと行くから。……おやすみ」
隆弥がまだ何か言いかけていた気がしたけど、無視して電話を切る。
もう、限界だった。
スマホを握りしめたままで、私は完全に目を閉じた。
そのまま意識も遠のいていく。