彼と私は手を繋ぐ
………ねーちゃん、
ねーちゃん、起きろー。
あー、駄目だこりゃ。爆睡っすね。
すいません、せっかく来てくれたのに。
話し声がする。
だけど、体も脳みそもまだほとんど夢の中。
リビングで待ちます?
え、いいんですかここで。
うつるかもしれないっすよ。
……そっか、じゃあ、
俺、もうすぐしたら部活行くんで。
………ふわふわする。
薬が効いてるのか、もう寒気はなかった。
いや、ただ熱が上がりきっただけかもしれない。
「………みーちゃん」
誰かに呼ばれる。
優しい声だ。
「ごめんね、やっぱり来ちゃったよ」
「いつも迷惑ばっかりかけて、ごめんね」
ごめんね、だいすき。
何回も何回も、言われたような気がする。
ふわふわ、ゆらゆら。
優しくて悲しい夢を見る。
大丈夫だよ、寂しい時は、手を繋いだらいいよ。
あったかくて、一人じゃないってわかるでしょ。
………あ、なんだこれ。
何か覚えてる。
誰かが泣いてて、幼い私はその子と手を繋いでいる。
その子が泣いたら私も悲しくて、
守ってあげたいと強く思った。
「大丈夫だよ、ほら」
小さな手と手を繋いでいる。
そうか、………私達にも、
こんな時があったね。
………………隆弥。